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トピックス
| 毛利衛さんからの贈りもの | 2001年9月 1日(土) 徒然なるままに(随想) |
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4月21日、大同工業大学創立60周年記念特別講演会が宇宙飛行士毛利衛さんを迎えて名古屋市公会堂で行われた。宇宙へ飛び立ったパイオニアからの直接の話「宇宙からの贈りものÿユニバソロジの世界観」は、期待に違わず聞く者に感動と新たな夢を与えるものであった。
「当日午前、本学を訪れる毛利さんに実験室を見せてあげてほしい。比較的小規模の大学で、予算不足と戦いながら頑張っているありのままをÿ」という澤岡学長からのメールが入ったのはその数日前でした。大同キャンパスから滝春新キャンパスへの移転の間もない頃、研究室の学生を総動員して、大慌てで実験装置の形だけを組み上げて当日を迎えた。
毛利さんは1992年の第1回目の宇宙飛行における科学実験の中で、銀の微粒子の生成実験を行っている。それは私の現在の研究とも深く関わっているので少し詳しく説明させていただく。この実験装置は直径8cmの“ガラス電球”にアルゴン、キセノンの不活性ガスを詰め、フィラメントから銀を加熱蒸発してできる煙微粒子をビデオ撮影するという仕掛けである。地上ではガスの対流によって煙が上方に立ち昇る中で結晶成長は進むが、宇宙では重量が無く対流を発生しないので、微粒子生成のメカニズムが異なることに着目し、新たな材料開発を目指して名古屋大学理学部和田伸彦先生の提案された実験である。後に、対流のない煙の拡散だけが見事に撮し出された写真を和田先生から送られた論文の中で見ることができた。
もう10年程も前になるとは言え、地上で何回も模擬実験をこなして宇宙の本番を済ませた毛利さん、自然対流を“消す”ために強制ガス流中で材料を蒸発してナノ粒子を作製するという私の実験装置を前にして、「生成のメカニズムは?」と、いきなり核心に迫る質問が出たり、また、実験結果のグラフが示す微妙な差異に率直な関心を寄せていただいた。極めて短い時間の会話を通して私に強く残った印象は、“熱意あふれる真摯な科学者”の毛利衛さんであった。
特別講演会と毛利さんの研究室訪問を通して、この7月に開館した「日本科学未来館」館長として氏の意気込みを強く感ずるとともに、それはまた私にとって、次代を担う若者が新たな夢を抱くために、親として、教師として何をなすべきかを考える好機となった。




